2015年より国際交流基金(JAPAN FOUNDATION)アジア文化創造協働助成の支援を得て,カンボジア人の人材育成事業を開始しました。

大学で考古学や建築学を専攻する学生や卒業後間もない若手研究者へのトレーニングと,修復保存工事を担う現地の技能員育成の2コースを行っています。

2015年8月に第一回となる学生研修プログラムをプノンペンで学ぶ学生10名を対象に2週間にわたり実施しました。日本から3名の教員がトレーナーとして参加し,保存学・考古学・建築学について室内での講義と現場での実地調査を通じて研修を行いました。

考古学の研修は遺跡群の北側に位置するローバン・ロミアス寺院を対象地として発掘調査を通じて行いました。11世紀の煉瓦造遺構が立ち並ぶ寺院で,はじめての発掘調査となるサイトです。地下からは祠堂を取り囲む周壁が発見された他,前室と門の周辺の構造も明らかとなり,調査そのものにおいても重要な結果が得られました。調査地点の選定,調査区の設定,測量方法,発掘調査の方法に加えて,出土遺構の現場での実測記録方法,室内における製図の方法についても学びました。出土した土器片を中心とした遺物については,それらの実測方法や写真記録の方法についても学び,最終的にはそれらを報告書としてまとめる方法を実習しました。

建築学の研修では,修復工事を進めている煉瓦造遺構で作業の方法を学んだほか,実際に修復材料の作成等も行いました。また,写真測量の方法を学び,CADで遺構の立面図を作成する作業に取り組みました。煉瓦造遺構がどのように劣化し破損するのか考え,それらの状況に対して必要な補強方法や修復処置の方法を整理する作業を行い,歴史的な建造物の保存方法とその考え方について学びました。

現場実習の内容を補完するように講義が行われ,より幅広い事例なども踏まえて理解が深められました。最終日には各研修生からの報告があり,それぞれに充実した発表内容となりました。

彼らの中から,カンボジアの遺跡研究に従事し,保存していくための専門家が一人でも多く輩出されることを願っています。